司馬遼太郎著「関ヶ原」全3巻を読了。最も印象に残った言葉とは。 #140

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司馬遼太郎著「関ヶ原」全3巻を読了しました。久しぶりに長編小説を読みましたが、評判に違わぬ素晴らしい小説でした。
 
全3巻の文庫本で総ページ数は1577ページの大作ですが、この中で私が最も印象に残ったのはこの文章です。
 
この冒険ぎらいの老人は、戦略の冒険性をすべて消してゆき、勝利がほとんど事務化するほどの状態にまで事を運び、時を待ち、しかるのちに腰をあげようとするのである。【司馬遼太郎「関ヶ原(下巻)」155ページ】
 
これは、関ヶ原の合戦の直前、なかなか関ヶ原へ向かわず江戸城での滞在を続けていた徳川家康が、ようやく関ヶ原へ向けて出発するという場面です。
 
立ち上がる前に、想定しうるリスクを一つずつ地道につぶしていく。そして、後は勝利という結果を待つだけ、という場面になって初めて動く。それを表現したこの文章。
 
挑戦を否定するわけではありません。リスクがあることを承知の上で、そのリスクに立ち向かうという選択肢もありです。
 
しかし、年齢を重ね、家族という守るべきものもあり、大きなリスクを取ることが難しい現実。それでもなお目標を掲げ、その達成に向け進もうともがいている自分にとって、この言葉はとても心に響きました。
 
リスクをゼロにすることは不可能ですし、勝利を確信するまで一切動かないようでは勝利自体もままならないでしょう。
 
それでも、回避可能なリスクは地道に回避しつつ、リスクを最少化する。そして、動くべき時がやってくれば躊躇なく動く。言うは易く行うは難しですが、追い求めたい理想の姿です。 
 
今日の学び
回避可能なリスクは地道に回避しつつ、リスクを最少化する。そして、動くべき時がやってくれば躊躇なく動く。言うは易く行うは難しだが、追い求めたい理想の姿。
 
今日の読書中
司馬遼太郎「関ヶ原(下)」読了
石原博光「まずはアパート一棟、買いなさい!」読始

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